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日本史の謎を地形・気象の観点から〜『日本史の謎は地形で解ける』〜

『日本史の謎は「地形」で解ける』という本のシリーズがあります。

 

今回はそのシリーズの第2弾である、文明・文化編についての書評を書いていきます。

 

作者は竹村公太郎さんという、元建設省でダムや河川事業を担当していた、いわば、地形のプロの方が書いた本です。

 

その竹村さんが、気象、地形の観点から、様々な日本史の謎に迫っていくという本です。

 

1.地理のプロが書いた歴史本

 

この本の新しい所は、地理のプロが書いた歴史本だということでしょう。

 

歴史の本は基本的には歴史のプロが書きますが、別畑の人間だからこそ気付くということもありますよね。

 

まさに岡目八目!!

 

本の構成は章分けされていて、その章ごとにテーマがある感じです。

 

例えば、「信長が天下統一目前までいけた本当の理由とは何か」や「上野の西郷隆盛像はなぜあの場所に建てられたか」、「なぜ江戸は世界最大の都市になれたか」などです。

 

いずれの章も、歴史学上での通説とそれに対する疑問、そして作者の主張が書かれています。

 

また、専門書ではないので、とても読みやすいですね。

 

2.地形・気象が人間の性質を決定付ける

 

和辻哲郎の『風土』という名著があります。

 

私も大学生の頃に読みました。

 

『風土』には地形・気象が人間の性質を決定付けるということが書かれていますが、この本もまさにその説に立脚して論が進んでいます。

 

確かに、地形や気象というのは、数百年単位では大きく変動するものではありませんから、歴史は地理に大いに影響を受けているでしょう。

 

特に興味深かったのが、日本人の「もったいない精神」や「小型化する文化」を地形・気象の観点から述べている所です。

 

地理畑で働き考え抜いてきたからこその作者の主張はとても論理的で筋が通っています。

 

3.番外編としてピラミッドの謎

 

「日本史の謎」と謳いつつ、番外編として二章分、ピラミッドの謎について述べられています。

 

歴史ロマンを掻き立てるピラミッドの謎についに迫りますよ!!!

 

これは熱いですね。

 

さて、ピラミッドがなぜ造られたのか、従来の説では、ナイル川氾濫期の公共事業としてというのが主流でして。

 

ところが、それだとナイル川の左岸にのみピラミッドが分布していることの説明がつきません。

 

そういう所から、作者はピラミッドは堤防の一種だったのではないかという説を打ち立てます。

 

これは、歴史学だけを研究している人はなかなか気付くことのできない視点でしょう。

 

ピラミッドがどのように堤防になり得るのかについてはぜひこの本を手に取って確かめてみて下さい。

 

およそ、河川事業に携わったことのない人には思いつかないような、工事の技法が関わっています。

 

そして、さらに作者は話を広げ、高台にあるギザの三大ピラミッドについても自身の説得力のある説を述べています。

 

4.まとめ

 

地形・気象の観点から歴史上の謎に迫るという斬新な企画の本でした。

 

非常にサクサクと読めますし、かつ作者の主張も「なるほどな」と納得できるものばかりでした。

 

歴史好きの人は今までになかった視点からの歴史を楽しめると思います。

 

 

日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)

日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)